4 つくば方式のトライアングル

つくば方式を支える三つの特徴

 さて、五章から七章にかけて、つくば方式マンションを成り立たせている三つの特徴について考えてきた。読者の皆さんは、これら三つの特徴が連携することで、新しい都市永住型マンションが造られた過程に驚かれたのではないだろうか。

 最後に、まとめておこう。
つくば方式の第一の特徴は、長持ちするスケルトン構造の建物だ(第五章)。これにより、間取りの自由設計を可能にし、長期にわたるスケルトンの有効利用を実現している。
 
 第二の特徴は、建物譲渡特約付き「定期」借地権だ(第六章)。これによって、定期借地権マンションにおけるスラム化の不安を解消しつつ、地主にとっても居住者にとっても望ましい定期借地権のあり方を確立している。

 第三の特徴は、コーポラティブ住宅だ(第七章)。この特徴だけは、つくば方式のオプションだ。つまり、建売りのつくば方式マンションもある。しかし、この章でみてきたように、コーポラティブとつくば方式の相性は良い。この方式によって、地主と居住者が主体となった家造りを実現している。

三つの特徴の有機的な連携

 さて、つくば方式の最大の特徴は、これら三つの特徴が、互いに有機的に連携していることで、それぞれの欠点をカバーしていることだ。例えば、価格が高くなるというスケルトン構造の欠点を、定借で土地代を下げることで解決している。

 また、定借だけでは三〇年後の持家から借家への転換がうまくいかない欠点を、スケルトンとインフィルの明確な区分による建物価格の合理化と、三一年目以降のスケルトン賃貸形式によって見事に解決している。

 さらに、コーポラティブだけでは事業支援者の手間が大変で普及しない欠点を、定借とスケルトン構造の併用によって解決している。

 つまり、互いに連携することで、新しい永住型マンションとしての実用性と魅力を確立している。まさに、ネットワーク時代の申し子といってよかろう。



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